
「新規事業を始めると決めたのに、半年経っても形になっていない」「WEBサイトのリニューアルを指示したが、制作会社とのやり取りが途中で止まっている」「採用強化プロジェクトを立ち上げたものの、通常業務が忙しくて誰も動けていない」「DXを進めたいが、現場とシステム会社の調整だけで何か月も経っている」「経営会議では毎回やるべきことが決まるのに、翌月確認するとほとんど進んでいない」。
会社を経営していると、このような問題が発生することがあります。
経営者からすると不思議に感じるかもしれません。会社として必要性を説明し、会議でも合意し、担当者まで決めている。それなのに、なぜプロジェクトが進まないのか。
そこで「社員の危機感が足りないのではないか」「もっと主体的に動いてほしい」「プロジェクト管理を徹底しよう」と考えます。
しかし、担当者へ催促すると一時的には進んでも、しばらくすると再び止まります。別のプロジェクトでも同じ問題が起こります。
これは、担当者個人の能力や意欲だけの問題ではない可能性があります。
会社のプロジェクトには、日常業務とは異なる難しさがあります。
日常業務には、すでに担当者や手順があります。営業担当者は営業活動を行い、経理担当者は経理業務を行い、人事担当者は採用や労務を担当します。
一方、新規事業、商品開発、WEBリニューアル、DX、AI導入、評価制度構築、採用改革などのプロジェクトは、複数の部署や専門家が関係します。
例えば新商品を立ち上げる場合、商品企画だけでは終わりません。
顧客ニーズを調査し、商品内容を決め、価格を設定し、営業資料を作り、WEBページを制作し、営業担当者へ説明し、販売を開始し、結果を検証する必要があります。
それぞれの仕事には担当者がいても、プロジェクト全体を前へ進める人がいなければ途中で止まります。
さらに、中小企業ではプロジェクト担当者が通常業務と兼任しているケースも多くあります。
顧客から連絡が来れば顧客対応を優先します。月末になれば売上や請求業務を優先します。トラブルが起きれば、その対応が優先されます。
プロジェクトは重要でも、今日対応しなければ大きな問題になるとは限りません。
そのため、緊急性の高い通常業務に押し出され、重要なプロジェクトだけが何週間、何か月と後回しになっていきます。
そして、最終的に社長が確認します。
「この件はどうなっていますか」「いつ完成しますか」「制作会社には連絡しましたか」「誰が担当していますか」。
社長が確認すると動き始めます。しかし、社長が別の仕事へ集中すると再び止まります。
この状態が続けば、実質的なプロジェクトマネージャーは社長です。
社長がプロジェクトを考え、担当者を決め、進捗を確認し、部署間を調整し、外注先へ連絡し、問題が発生すれば判断する。
プロジェクトが増えるほど社長の管理対象も増えていきます。
プロジェクトが進まない会社では、仕事をする人がいないのではなく、仕事と仕事をつなぎ、完了まで推進する機能が不足していることがあります。
例えば、WEBサイトの制作担当者がいて、営業責任者がいて、商品責任者がいても、誰が最終的にサイト公開まで責任を持つのかが決まっていなければ、情報待ちや確認待ちが発生します。
新規事業でも、事業アイデアを考える人、サービスを作る人、営業する人がいても、事業開始までの全工程を管理する責任者がいなければ前へ進みません。
つまり、プロジェクトには単なる担当者ではなく、全体を完了へ導く実行責任が必要です。
また、責任者を置くだけでも十分ではありません。
その人にプロジェクトへ使える時間があるのか。必要な予算があるのか。部署を横断して指示や調整ができるのか。一定範囲の判断権限があるのか。社長の判断が必要な場合、すぐに確認できるのか。
これらの条件が整っていなければ、肩書きだけの責任者になってしまいます。
プロジェクトを進めるには、責任者、期限、権限、経営資源、進捗管理、障害除去を一つの仕組みとして設計する必要があります。
さらに重要なのは、プロジェクトの「完了」を明確にすることです。
会議を開催した。制作会社へ発注した。システムを導入した。新商品の資料を作った。
これらは作業の完了であって、必ずしも経営目的の達成ではありません。
例えばAI導入プロジェクトであれば、AIツールを契約しただけでは成功とは言えません。実際に社員が利用し、業務時間が削減され、費用対効果が確認できて初めて、経営上の成果が見えてきます。
新規事業も、サービスを作ったところで終わりではありません。顧客を獲得し、売上が発生し、事業として成立するかを検証する必要があります。
そのため、プロジェクトでは「何を完成させるのか」と「どの成果を生み出すのか」の両方を決める必要があります。
この記事では、プロジェクトが進まない会社によくある誤解から、仕事が止まる構造的な原因、放置した場合の経営リスク、プロジェクトを前へ進める具体的な方法まで詳しく解説します。
さらに、5方良し経営の視点から、会社の成果だけでなく、従業員、顧客、社会、次世代まで含めてプロジェクトのあり方を再設計します。
目指すのは、社長が毎回「どうなった?」と確認する会社ではありません。
社長が方向性を決めれば、責任者とチームが動き、問題があれば早期に解決され、決めたプロジェクトが最後まで完了する会社です。
よくある誤解
1.責任者を決めればプロジェクトは進む
プロジェクトを立ち上げる時、多くの会社では最初に責任者を決めます。しかし、責任者を任命しただけでプロジェクトが進むとは限りません。
通常業務を抱えた社員へ「このプロジェクトもお願いします」と追加している場合、その社員にとって優先すべき仕事は既存顧客への対応や売上目標などになります。
また、責任者と呼ばれていても、他部署へ依頼する権限、外注費を使う権限、一定範囲を判断する権限がなければ、重要な場面で仕事が止まります。
責任者を決めることと、責任者がプロジェクトを動かせる状態を作ることは別です。
2.期限を決めれば予定通り終わる
「三か月後に完成」「年内に開始」と期限を決めることは重要ですが、最終期限だけではプロジェクトを管理できません。
三か月後に新サービスを発売するのであれば、企画決定、価格決定、制作、テスト、営業準備など、それぞれの中間期限が必要です。
途中の期限がなければ、遅れが判明するのは最終期限の直前になります。
最終期限から逆算し、途中の重要な節目を決めることで、どこが遅れているのかを早期に把握できるようになります。
3.会議を増やせばプロジェクトは進む
プロジェクトが遅れると、進捗会議を増やす会社があります。しかし、会議そのものにプロジェクトを進める力があるわけではありません。
「現在70%です」「少し遅れています」「来週までに進めます」という報告だけで終われば、会議を毎週開催しても状況は変わりません。
必要なのは、なぜ遅れているのかを特定し、その場で次の対応を決めることです。
進捗会議は報告会ではなく、プロジェクトを止めている障害を取り除く場にする必要があります。
4.プロジェクト管理ツールを入れれば解決する
タスク管理やプロジェクト管理のツールは便利です。担当者、期限、進捗などを可視化できます。
しかし、ツールに「遅延」と表示されても、それだけで仕事が進むわけではありません。
社長の承認待ちなのか、担当者の時間不足なのか、外注先から回答がないのか、部署間で意見が対立しているのかによって必要な対応は異なります。
ツールは状況を見えるようにするための手段です。
重要なのは管理ツールそのものではなく、見つかった問題を誰がどのように解決するかという運用です。
5.進まないのは社員の意識が低いから
プロジェクトが進まないと、社員の主体性を原因と考えたくなることがあります。しかし、社員から見ると「通常業務も減らない」「他部署へ頼んでも協力してもらえない」「何を決めても社長承認が必要」という状況かもしれません。
この状態で社員へ主体性だけを求めても限界があります。
目的、優先順位、権限、時間、予算を明確にし、自分の判断で前へ進められる環境を作ることが必要です。
社員の問題と決めつける前に、会社側のプロジェクト設計を確認する必要があります。
6.外部へ任せれば社内の負担はなくなる
WEB制作会社、コンサルタント、システム会社、採用支援会社などへプロジェクトを外注することは有効です。
しかし、外部企業は基本的に契約した範囲の仕事を担当します。
WEB会社はWEBサイトを作れても、自社の商品価格までは決められません。採用会社は応募者を集められても、最終的な採用基準を決めるのは会社です。
外注先が増えるほど、社内と外部をつなぐ機能が必要になります。外注とはプロジェクトそのものを手放すことではなく、必要な機能を外部から補うことです。
なぜうまくいかないのか
1.目的と完了条件が曖昧になっている
プロジェクトが進まない会社では、最初の段階で「何のために行うのか」「どこまで行けば終わりなのか」が曖昧な場合があります。
例えば「営業を強化する」「DXを進める」「採用を改善する」だけでは、具体的なゴールが分かりません。
営業強化なら、新規商談数を増やすのか、成約率を改善するのか、顧客単価を高めるのかによって施策は変わります。
プロジェクト開始時に目的、成果指標、成果物、完了条件を明確にすることで、関係者が同じ方向へ動きやすくなります。
2.責任者と作業担当者が混同されている
プロジェクトでは多くの人が作業を担当します。しかし、作業担当者が複数いることと、プロジェクト全体の責任者がいることは別です。
WEB担当者、営業担当者、デザイナー、外部制作会社がいても、誰が公開日まで全体を管理するのか決まっていなければ、担当者間の隙間で仕事が止まります。
責任者には、自分で全部の作業をすることではなく、各担当者の仕事をつなぎ、問題を解決し、プロジェクトを完了へ導く役割があります。
一つのプロジェクトに一人の実行責任者を明確にすることが重要です。
3.通常業務とプロジェクトの優先順位が決まっていない
中小企業では、プロジェクト専任者を置けない場合も多く、通常業務との兼任になります。
問題は兼任そのものではありません。
通常業務とプロジェクトがぶつかった時に、どちらを優先するのか決まっていないことです。
緊急性の高い通常業務を毎回優先すれば、プロジェクトは永久に後回しになります。
経営側がプロジェクトの優先順位を明示し、担当者の既存業務を減らすことも必要です。
新しい仕事を追加するなら、何をやめるのかまで決める必要があります。
4.意思決定が社長や一部の幹部へ集中している
担当者が仕事を進めても、「これは社長確認」「予算は役員承認」「この内容は営業部長の判断待ち」という状態になれば、その都度プロジェクトが停止します。
特に複数部署にまたがるプロジェクトでは、承認待ちが積み重なりやすくなります。
そこで、プロジェクト開始時に責任者が判断できる範囲を明確にします。
例えば、一定金額以内の発注、軽微な仕様変更、スケジュール調整などは責任者へ権限を渡します。
判断のたびに社長へ戻る構造を残したままでは、会社のプロジェクト数を増やすことはできません。
5.問題を発見しても解決する人がいない
プロジェクトには予定外の問題が必ず発生します。
必要な情報が集まらない、外注先が遅れる、予算が不足する、仕様変更が必要になる、担当者が退職するなど、計画通りに進まないことは珍しくありません。
問題なのはトラブルが発生することではなく、それを放置することです。
「営業部から回答が来ないので止まっています」という報告を受けて終わるのではなく、誰が営業部と調整し、いつまでに回答を得るのかまで決めます。
プロジェクト管理では、進捗率よりも「何が止めているのか」を見ることが重要です。
6.社内外を統括する推進機能が不足している
プロジェクトが大きくなるほど、社内の複数部署だけでなく外部専門家も関わるようになります。
しかし、それぞれの専門家は自分の担当領域を中心に動きます。
そのため、商品、営業、マーケティング、採用、システムなどを横断して全体を管理する機能が必要です。
この役割がない会社では、最終的に社長が各担当者から情報を集め、判断し、調整することになります。
結果として、プロジェクトの数を増やすほど社長の負担が増えます。
プロジェクトが進まない本質的な原因は、作業能力ではなく、全体を前へ進める推進機能の不足にある場合があります。
プロジェクトが止まる原因は、担当者一人の問題ではありません。
目的と完了条件、責任者、優先順位、意思決定権限、障害除去、社内外の調整機能がつながっていないことで、仕事が途中で止まります。
個人の頑張りに依存するのではなく、プロジェクトが自然に前へ進む構造を会社として作る必要があります。
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放置するとどうなるか
1.経営課題が何年経っても解決しなくなる
プロジェクトは、会社の重要な経営課題を解決するために行われます。
営業改革が止まれば営業課題が残り、採用改革が止まれば人材不足が続きます。DXが止まれば非効率な業務が残り、新規事業が止まれば既存事業への依存が続きます。
その結果、経営会議で毎年同じ問題を話し合う状態になります。
課題が分かっているのに会社が変わらない原因は、解決策ではなく実行力にあるかもしれません。
2.投資した費用と時間が回収できなくなる
プロジェクトには多くの経営資源が使われます。
社員が会議へ参加する時間、外部コンサルタントへの費用、制作費、システム費、広告費などです。
途中で止まった場合、それまで投入した費用や時間が成果へつながらない可能性があります。
例えば、新規事業に半年間取り組んでも発売まで到達しなければ、その期間の人件費や外注費から売上は生まれません。
プロジェクトの遅延は単なるスケジュールの問題ではなく、投資回収の遅延でもあります。
3.社員が挑戦しなくなる
プロジェクトが何度も途中で止まる会社では、社員も学習します。
「新しいことを提案してもどうせ進まない」「経営会議で決まってもまた変わる」「通常業務だけやっていた方が安全」と考えるようになれば、新しい挑戦が減っていきます。
特に、積極的な社員だけに仕事が集中し、その努力が評価されなければ、優秀な社員ほど疲弊する可能性があります。
プロジェクトの実行力は、組織文化にも影響します。
4.意思決定がさらに社長へ集中する
社員へ任せたプロジェクトが何度も止まると、社長は「自分で見た方が早い」と考えるようになります。
すると会議へ参加し、細かい内容を確認し、担当者へ直接指示するようになります。
一時的には進むかもしれませんが、社長が関与しなければ動かない会社が強化されます。
社員も自分で判断するより、社長へ確認するようになります。
プロジェクトが進まない会社ほど社長が介入し、社長が介入するほど社員が判断しなくなる悪循環が生まれます。
5.成長機会を競合へ奪われる
市場は会社の準備が整うまで待ってくれません。
新商品を考えている間に競合が発売する。DXを検討している間に競合が業務効率を高める。採用サイトを作っている間に優秀な人材が他社へ入社する。
完璧な計画を作っていても、実行が遅ければ市場では意味を失う場合があります。
特に変化の速い市場では、実行速度そのものが競争力になります。
6.社長が未来を考えられなくなる
プロジェクトが進まない会社では、最終的に社長が火消し役になります。
「この件はどうなった」「制作会社へ連絡したか」「いつ完成する」「誰が決めるのか」と確認する仕事が増えていきます。
その結果、新規事業、長期戦略、重要な提携、幹部育成、事業承継など、未来の会社を作る仕事へ使う時間が減ります。
現在のプロジェクトを動かすために、未来を作る社長の時間が失われることが最大のリスクです。
プロジェクトが進まない状態を放置すると、経営課題が残り、投資回収が遅れ、社員の挑戦意欲も低下します。
さらに、社長への意思決定集中が進み、競争機会を逃し、未来を考える時間まで失われます。 プロジェクトの実行力は単なる業務管理ではなく、会社の成長速度そのものに関わる経営課題です。
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実践ステップ
1.会社で動いているプロジェクトをすべて可視化する
最初に、会社で現在進んでいるプロジェクトを一覧にします。
新規事業、商品開発、営業改善、採用、教育、評価制度、WEB、DX、AI導入、業務改善などを一度すべて出します。
すると、想像以上の数のプロジェクトを同時進行している会社もあります。
次に、それぞれについて目的、責任者、期限、現在地、経営への重要度を整理します。
その上で、今すぐ進めるもの、次に進めるもの、一旦止めるものに分けます。
プロジェクトを増やす前に、会社が同時に実行できる量を把握することが重要です。
2.目的・成果・完了条件を一枚で定義する
優先するプロジェクトが決まったら、「何のために行うのか」「何を完成させるのか」「どの成果を目指すのか」を明確にします。
例えばWEBリニューアルなら、単にサイトを新しくするのではなく、問い合わせを月10件から20件へ増やすことを目的とするなど、経営課題と結び付けます。
その上で、公開日、必要ページ、問い合わせ導線など、プロジェクトとしての完了条件を設定します。
作業完了と成果目標を分けることも重要です。
サイト公開は完了条件、問い合わせ増加は成果目標という形です。
3.実行責任者と判断権限をセットで決める
一つのプロジェクトには、全体を最後まで推進する実行責任者を設定します。
そして、責任者に何を任せるのかを明確にします。
どこまで自分で判断できるのか。いくらまで予算を使えるのか。他部署へどこまで依頼できるのか。何について社長承認が必要なのかを決めます。
同時に、プロジェクトへ使える時間も確保します。
通常業務が100%残った状態で新しい責任を追加しないことが重要です。
責任、権限、時間をセットで渡して初めて、本当の意味でプロジェクトを任せることができます。
4.ゴールから逆算して工程と中間期限を作る
最終期限だけではなく、完成までの工程を分解します。
例えば新商品開発なら、顧客調査、コンセプト決定、商品設計、価格設定、テスト、営業資料作成、販売準備、販売開始などに分けます。
それぞれに担当者と期限を設定します。
ここで重要なのは、前の工程が終わらないと次へ進めない箇所を確認することです。
価格が決まらなければ営業資料が完成しないのであれば、価格決定の遅れが全体の遅れにつながります。
全体工程を可視化することで、どこを優先して管理すべきか分かるようになります。
5.進捗会議を障害除去の場へ変える
進捗確認では「何%進んだか」だけではなく、四つを確認します。
予定通り進んでいるか。次に何をするか。何が止めているか。誰の判断や協力が必要かです。
遅れている場合には、その場で対応を決めます。
例えば社長判断が必要なら判断する。他部署の協力が必要なら担当者を決める。人手不足なら外部人材を追加する。計画自体に無理があれば変更する。
進捗管理の目的は遅れた人を探すことではなく、遅れの原因を早く取り除くことです。
6.社員・AI・専門家を組み合わせた実行体制を作る
すべてのプロジェクトを社内だけで進める必要はありません。
自社が持つべき判断やノウハウは社内に残し、専門性や作業量が必要な部分は外部へ任せる方法があります。
例えば、商品コンセプトと最終判断は社内、デザインは外部、データ分析はAI、WEB制作は専門会社という形です。
重要なのは、外注先を増やすことではありません。
社内外のメンバーを一つのプロジェクトチームとして設計し、全体を管理する責任者を置くことです。
誰がやるかではなく、最も早く高い品質で完了できる体制は何かという視点で実行チームを設計します。
7.一般的解決策との違い
一般的なプロジェクト改善では、WBS、ガントチャート、タスク管理ツール、定例会議などが中心になります。これらは重要ですが、ツールや管理方法だけでは解決できない問題があります。
担当者に時間がなければ、タスクを登録しても進みません。権限がなければ、期限を決めても承認待ちになります。部署間調整をする人がいなければ、会議を増やしても仕事は止まります。
本記事で重視しているのは、プロジェクトを管理する方法だけではありません。
目的、優先順位、責任者、権限、時間、予算、工程、意思決定、障害除去、社内外の実行チームまで一つの経営システムとして設計します。
最終的に目指すのは、社長が催促することで進む会社から、仕組みによってプロジェクトが進む会社への転換です。
プロジェクトを進めるには、まず会社全体のプロジェクトを可視化し、優先順位を決めます。
次に目的、成果、完了条件を定義し、実行責任者へ権限と時間を渡します。
ゴールから逆算して工程を作り、進捗会議では報告ではなく障害除去を行います。
さらに、社内だけでは不足する部分についてはAIや外部専門家を組み合わせます。
プロジェクト実行力とは、社員を急がせる力ではなく、仕事が止まる原因を構造的に減らす力です。
5方良し経営で再設計
1.《会社良し》
プロジェクトを経営成果へつなげる
会社良しでは、プロジェクトを完了すること自体を目的にしません。
重要なのは、プロジェクトによって売上、利益、生産性、組織力などがどう改善されたかです。
例えばWEBサイトをリニューアルしたなら、完成したことではなく、問い合わせや売上につながったかまで確認します。
AIを導入したなら、導入件数ではなく、実際に業務時間やコストを削減できたかを確認します。
プロジェクトの成功基準を経営成果までつなげることが会社良しの考え方です。
2.《従業員良し》
プロジェクトを人材育成の機会にする
プロジェクトは社員を育てる機会にもなります。
通常業務では経験できない企画、意思決定、部署間調整、予算管理、問題解決などを経験できるからです。
社長がすべてを決めるのではなく、社員へ責任と権限を段階的に渡すことで、将来の幹部候補を育てることもできます。
ただし、通常業務にプロジェクトを上乗せして疲弊させてはいけません。
既存業務を減らし、挑戦を評価する仕組みまで含めて設計することが重要です。
3.《顧客良し》
プロジェクトの目的を顧客価値へつなげる
社内プロジェクトは、会社の都合だけで設計されることがあります。
しかし、新商品、DX、WEB改善、業務効率化なども、最終的には顧客へどのような価値を提供できるかを考える必要があります。
例えば業務効率化によって社員の時間が生まれれば、その時間を顧客対応へ振り向けることもできます。
新商品開発では、会社が売りたいものではなく、顧客が抱えている問題から設計することが重要です。
会社の改善と顧客価値が同時に高まるプロジェクトを目指します。
4.《世間良し》
外部パートナーと成果を共有する
現在のプロジェクトでは、社内だけですべてを完結することは難しくなっています。
制作会社、採用会社、システム会社、専門家、代理店など、多くの企業と協力する可能性があります。
世間良しでは、自社だけが得をする発注関係ではなく、それぞれの強みを生かして価値を生み出せる関係を作ります。
外部パートナーにも目的や背景を共有し、単なる作業発注ではなく、成果を一緒に目指せる体制を作ることでプロジェクトの品質も高まりやすくなります。
5.《次世代良し》
プロジェクトを進められる会社を残す
次世代良しでは、現在の社長が優秀だからプロジェクトが進む会社ではなく、社長が変わっても実行できる会社を目指します。
プロジェクトの立ち上げ方、責任者の決め方、権限設定、進捗管理、問題解決、完了判定などを仕組みとして残します。
また、若手社員へ小さなプロジェクトから任せることで、次世代の経営人材を育てることもできます。
会社に残すべきものは成功したプロジェクトだけではなく、次のプロジェクトも成功させられる実行力です。
5方良し経営では、プロジェクトを単なるタスクの集合として考えません。
会社の成長につながり、社員が育ち、顧客への価値が高まり、外部パートナーとも良い関係を作り、その実行力が次世代へ残る状態を目指します。
一つのプロジェクトを成功させるだけでなく、プロジェクトを実行するたびに会社そのものが強くなる設計が重要です。

「やりたいことはたくさんあるのに進まない」「社員へ任せたが途中で止まっている」「複数の外部会社へ依頼しているが、結局自分が全部管理している」「経営会議では決まるが、実行までつながらない」。
このような状態では、新しいプロジェクト管理ツールを導入する前に、会社全体の実行体制を整理する必要があります。
「社長の分身」では、まず社長の本音を整理します。
会社をこれからどうしたいのか。どの事業を伸ばしたいのか。どの経営課題を最優先で解決したいのか。社長自身は何に時間を使いたいのか。
社長の本音から会社の理想を明確にし、現在との違いを整理します。
その上で、経営の原理原則から、今やるべきプロジェクトと、今はやらないプロジェクトを整理します。
例えば、売上を伸ばす必要があるからといって、広告だけが解決策とは限りません。
商品設計に問題があるのか。営業方法に問題があるのか。既存顧客へのアップセルが不足しているのか。WEB導線に問題があるのか。
原因によって優先すべきプロジェクトは変わります。
次に、実行体制を整理します。
社内の誰が担当するのか。どこまで社員へ任せるのか。AIやシステムで代替できる部分は何か。どの領域に専門家が必要なのか。どの外部パートナーへ任せるのか。
そして、それぞれを別々に動かすのではなく、一つの実行体制として設計します。
ここで重要になるのが、丸投げチーム設計です。
丸投げとは、社長が経営責任まで手放すことではありません。
社長は会社の理念、方向性、重要な投資、重要人事、最終的な意思決定を担います。
一方で、情報収集、企画の具体化、専門家への依頼、プロジェクト管理、進捗確認、部署間調整など、必ずしも社長本人が行う必要のない仕事を社員、AI、システム、専門家へ分担します。
社長が全部やる会社から、社長が決めればチームが実行する会社へ変えることが目的です。
一度、社長の分身にご相談ください。年商1~100億まで対応。
どんな悩みも無料で相談できます。
社長の本音を出して、理想を明確にし、原理原則からやるべきことを整理し、実際に動かすための丸投げチーム設計まで一緒に考えます。
「プロジェクトが進まない会社」では、社員が仕事をしていないとは限りません。
むしろ、それぞれの社員は忙しく働いているのに、会社として重要なプロジェクトだけが進まないケースがあります。
その原因は、プロジェクトの目的や完了条件が曖昧であること、責任者と作業担当者が混同されていること、通常業務との優先順位が決まっていないこと、意思決定が社長へ集中していること、問題を解決する仕組みがないこと、社内外を統括する推進機能が不足していることなどにあります。
だからこそ、社員へ「もっと早く進めてほしい」と求めるだけでは根本的な解決になりません。
まず、会社で進めているプロジェクトをすべて可視化し、優先順位を決めます。
次に、目的、成果、完了条件を明確にし、一人の実行責任者を決めます。その責任者へ必要な時間、予算、権限を渡します。
さらに、ゴールから逆算して工程と中間期限を設定し、進捗確認では遅れを報告するだけではなく、仕事を止めている障害を取り除きます。
社内だけで足りない機能については、AI、システム、専門家、外部パートナーを活用します。
そして、プロジェクト全体を一つのチームとして管理できる体制を作ります。
プロジェクトが進む会社と進まない会社の違いは、社員の忙しさではなく、重要な仕事を完了まで運ぶ仕組みがあるかどうかです。
社長が催促しなければ止まる会社から、社長が方向性を決めれば、人と仕組みが動き、プロジェクトが完了する会社へ変えていく。
その実行力が積み上がるほど、会社は新しい商品、新規事業、組織改革、DX、採用改革など、これまで後回しになっていた経営課題へ次々と取り組めるようになります。
最終的に目指したいのは、プロジェクトを一つ成功させることだけではありません。
重要なプロジェクトを継続的に実行し、会社を変え続けられる経営体制を作ることです。



